松竹裁判答弁書で読む「党籍を失ったら議員辞職すべきか」問題

応援隊から

 離党・除籍・除名など党籍を失ったら議員を辞めるべきかどうかという問題について。

 最近、松竹伸幸さんの裁判の書面を読んでいて、被告である共産党側が答弁書の中で他の事件の判決を引用していることに注意を引かれました。

 これは他の事件の判決を使って「ほら、私たちの言い分は正しいでしょ?」と、共産党としての言い分を正当化する根拠に使っているものです。

 「他の事件」というのは、2022年に東京地裁で判決があった事件で、自民党を除名された議員(原告)が、自民党(被告)を相手に、自分の除名の無効などを訴えた裁判でした。

 その判決ではこう言ってます。

〈原告は、本件各処分により被告自民党の党員としての地位を失うことになるが、本件各処分は、原告の議員としての地位に影響を与えるものではなく、原告の俸給やその政治活動に特段の法的な制限をかけるものであったとは認められず、本件各処分は、 被告自民党の内部規律の問題にとどまるというべきである〉

 ちょっと分解して説明してみますね。

 まず

〈原告は、本件各処分により被告自民党の党員としての地位を失うことになるが、〉

という部分。これは「原告の議員が除名によって自民党の党員としての地位を失いましたね」という意味です。

 続いて、

〈本件各処分は、原告の議員としての地位に影響を与えるものではなく、原告の俸給やその政治活動に特段の法的な制限をかけるものであったとは認められず、〉

の部分は、「でもその除名処分を受けたことで、別に原告の議員は議員を辞めなきゃいけないとかいう話じゃないですよね。給料がなくなってしまうとか、政治活動に影響は全然ありませんよね」と言っているのです。

 そして最後の、

〈本件各処分は、 被告自民党の内部規律の問題にとどまるというべきである〉

という部分。「だから除名処分は、自民党にとって内部問題にすぎないですね。内部のことなので外部である司法は口出ししません」という流れです。

 共産党はこの判決を使って、松竹さんの除名は内部問題だ、党籍を失うかどうかは外部の司法が口を出す話じゃない、といって裁判のテーマにしないよう主張しているのです。

 つまり党として、

「政党にとって党籍を失うかどうかは、議員を辞める・辞めないとは関係のない純粋な内部問題(党内問題)だ」

と裁判で公式に主張しているのです。

 この主張がいいか悪いか別にして、少なくとも現在共産党はこういう立場なのです。

執筆者:神谷貴行

コメント

タイトルとURLをコピーしました