「とある専従者」様からの投稿企画「中学生から読める訴状解説」②

訴状解説

「とある専従者」様からの投稿企画「中学生から読める訴状解説」の第2回です。
とてもわかりやすい、と好評です。お読みになっての感想なども引き続きお寄せください。

第2の柱 処分の手続きがおかしいのでは?

共産党が松竹さんを処分した手続きがおかしい。

 おかしいと思う理由は3つあります。

(1)手続きがおかしい①:処分ができる支部から処分の権限をとりあげた

 会社で社員のルール違反があったら、課長がその社員を罰していいでしょうか? いえいえ、勝手にそんなことをしたらダメですよね。会社の中で調査をする部署があって、言い分を聞いて、処分をする部署がちゃんとあります。

 共産党も同じです。

 共産党はヒラの党員が3人以上あつまると、地域や職場ごとに「支部」といういちばん基礎になる組織をつくります。ほとんどの党員がどこかの支部に所属しています。松竹さんは京都の出版関係の党員たちがあつまった支部(新日プロセス支部)に所属していました。

 その地域の支部が20とか30あつまって、「地区委員会」をつくっています。

支部をたばねて、めんどうをみている上の組織ですね。(ちなみにその上が「都道府県委員会」、そのさらに上が「中央委員会」です。)

 共産党のルール(規約)では、ヒラの党員が問題をおこしたら、その党員がいる支部が調査をして、総会をひらいて、その党員の言い分をよく聞いたうえで、処分をすることができますよと定められています(50条)。

 ところが、松竹さんの事件では、支部よりも上の組織である地区委員会が、その権限を支部からとりあげて、勝手に処分してしまいました。

 ただし。

 規約には「特別な事情」がある場合には、とりあげてよい、と定められていました。

●支部がちゃんと「地区委員会で決めていいよ」と同意しないと「特別な事情」にはならない

 地区委員会が好き勝手に支部から権限をとりあげたらダメですからね。大きな支部には、支部の会議で選挙されたリーダーたちが指導部をつくっています。これを「支部委員会」といいます(松竹さんがいた支部にはありました)。

 「特別な事情」でとりあげる場合、少なくともこの支部委員会が同意しないといけないでしょうね。

 なぜなら、規約では処分、とくに除名は「もっとも慎重におこなわなくてはならない」とわざわざ定めているくらいデリケートなものだからです。

●支部の同意はなかったし、「特別な事情」もなかった

 ところが松竹さんの除名処分の権限を、支部からとりあげることについては、支部での同意もなかったし、支部のリーダーたちの集まりである支部委員会の同意もありませんでした。共産党側が「電話で同意をとった」という支部委員会の委員さんも、「説明は受けたけど、処分することを同意したおぼえはないんですが…」と言っています。

 それでも。

 もしも、支部が崩壊してたら? たとえば支部のほとんどのメンバーが幽霊党員で、もう全然支部会議には来なくなっていたら? そのときは、支部の同意がなくても「特別な事情」だと考えて仕方ないかもしれませんね。

 でも、そんなことはありませんでした。支部は元気に活動していたのです。

●共産党側が言っている「特別な事情」はヘンだぞ

 支部の同意もない。支部が崩壊しているということもない。

 じゃあ、「特別な事情」なんてないのでは?

 いやいや、共産党側はあくまで「特別な事情があったんです!」と主張します。その「特別な事情」というのは、「松竹さんがメディアや記者会見をして、共産党の攻撃を始めていたから、急いで対応する必要があったんです!」というものでした。攻撃。まるで、「暴漢が襲いかかってきたので、やむをえず原則とは違う、緊急の対応をした」…みたいなイメージでしょうか。

 だけど、松竹さん自身は「あくまで綱領と規約の範囲で意見を申し上げますね」と述べています。それを共産党側が勝手に「攻撃」と決めていいんでしょうか。

 もちろん、よくよく調べたら綱領も規約も超えてしまったルール違反、共産党の言うところの「攻撃」なのかもしれません。だけど、まさにそれこそルールどおり支部がきちんと調べて結論をだして、必要なら処分すればいいだけのことです。急ぐべきなら、支部がそう判断して、急いでやればいいんです。

 「攻撃」という抽象的でばくぜんとした「理由」で、なんでもかんでも支部から権限をとりあげられるわけじゃないのです。

●ちゃんとした手続きを無視したやり方なので民法に違反します

 みてきたように、支部で決めるべき処分を、共産党側が支部の同意もまともな理由もなく勝手にとりあげて決めてしまっています。これは、団体としてちゃんとした手続きをふみにじるようなひどいやり方です。民法90条に書いてある「公序良俗」、つまり国や社会の秩序とか、世の中の常識的な道徳に反するものです。

(2)手続きがおかしい②:松竹さんに規約にある意見表明をさせなかった

●共産党の規約では処分される人の意見表明の権利が定められている

 共産党の規約では処分される人には「その会議に出席し、意見をのべることができる」(5条)、「十分に意見表明の機会をあたえる」(55条)と念入りに定められています。

●もちろんじっさいに会議に出て意見がのべられるように案内しないとダメ

 でも、あいつを出席させて意見を言わせたくない、あいつの意見を聞いたら「処分しなくていい」ってなっちゃうかもしれないし……そんな思惑から、会議の日程や場所をわざと伝えなかったり、伝えてもめちゃくちゃわかりにくいように伝えたり…そんなことをしたらダメです。

 権利をしっかり実行してもらえるように、マジメに、きちんと案内すべきです。あたり前ですね。案内をきちんと受けた上でどうするかは、もちろん本人の自由です。

●松竹さんには通知なし

 ところが、松竹さんには、いつ・どこで、その会議があるかについては、共産党側からまったく告知がありませんでした。

 同じ時期に除名された鈴木元さんには、共産党側は具体的な日時や場所をちゃんと知らせています。それと比べても異常です。

 つまり、規約に定められた意見表明の機会を、松竹さんは奪われてしまったのです。

●これもちゃんとした手続きを踏みにじっており、民法に反します

 というわけで、この点でもやはり松竹さんの除名は規約上の手続きを踏みにじっており、さっきのべたとおり民法の「公序良俗」に反します。

(3)手続きがおかしい③:松竹さんの除名の再審査もひどかった

 共産党の規約では、除名されたあとでも、「納得いかない。もう一度よく審査してくれ」と中央委員会(共産党の指導部)と党大会(共産党の最高の意思決定機関)に願い出れば、ふたたび審査するという「再審査」の制度があります(55条)。

●再審査で松竹さんの意見表明も、みんなの討論もなく、多数決もなかった

 除名は「もっとも慎重におこなわなくてはならない」というのが規約の定めでした(54条)。また、「党の意思決定は民主的な討論をつくし、最終的には多数決で決める」(3条)とも書かれています。

 とすれば松竹さんの再審査は、共産党の最高の意思決定機関である党大会で、松竹さんが意見表明をおこない、参加者みんなで民主的に議論をつくし、最後は多数決で決めるべきですよね。

 ところが、じっさいにはどうだったでしょうか。

 大会の一部の人(大会幹部団)だけが、松竹さんの願い出を「審査」して、「松竹さんの申し出はダメ」という結論を大会に報告し、大会ではそれについての討論の機会もなく、決を採ることもなく、つまり多数決ではなく「拍手」で承認されただけでした。賛成が何人で反対が何人なのか、まったくわからないのです。もちろん、党大会では松竹さん自身が意見をのべる機会は、まったくあたえられませんでした。

●これもちゃんとした手続きを踏みにじっており、民法に反します

 というわけで、この点でもやはり松竹さんの除名は規約上の手続きを踏みにじっており、さっきのべたとおり民法の「公序良俗」に反します。

コメント

  1. 伊東洋一 より:

    ブログ「ヒラ共産党員のつぶやき」を書いている伊東洋一と申します。
    このブログも充実してきそうで、楽しみにしています。
    ひとつ確認したいのですが、裁判の第1回公判が4月25日に決まったということですが、
    当日のスケジュールや参加方法は、このブログでお知らせいただけるのでしょうか。

  2. matutakeouentai より:

    伊東様
    コメントへのお返事が遅くなりまして、大変申し訳ございません。
    4月25日の公判のスケジュールにつきましては、再度確認の上、ブログ上でもお知らせをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

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